日本原産の犬「狆(ちん)」ってどんな犬?ルーツや特徴、性格などをご紹介

犬種の紹介
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みなさん「狆(ちん)」という犬種を知っていますか?

一度くらい聞いたことがある人も多いと思いますが、実際に見かけたことがある人は多くないかもしれません。狆は初めて認められた日本原産の犬です。狆の祖先となる犬は1000年以上も前から日本で暮らしていますが、2023年のジャパン・ケンネル・クラブ(JKC)の統計では、犬種別犬籍登録頭数は282頭で40位で、今では少しレア(?)な犬種になりつつあるのです。

今回はそんな狆のルーツと魅力について説明していきたいと思います。

狆のルーツ

初めて認められた日本原産の犬

狆は、世界公認犬種として初めて認められた日本原産の犬です。
732年に韓国(当時の新羅)から聖武天皇に贈られた小さな犬が祖先だと言われています。
その後、700~800年代に遣唐使によって小さな犬が持ち帰られ、これらをもとに日本で長い年月をかけて改良が重ねられ狆が生まれました。ペキニーズやシー・ズー、チべスタン・テリアなどに近い犬だと考えられています。

江戸時代の狆

狆は、徳川綱吉の時代の江戸時代に江戸城の大奥で室内愛玩犬としてとても可愛がられていました。そして、1868年以降、上流社会の女性たちの間で「抱き犬」として人気となり、その後、庶民の間にも広まっていきました。

ペリーと狆

ペリー艦隊が黒船に乗って日本にやってきた際、幕府からの贈り物の中に4匹の狆が含まれていました。また、日本のコミッショナーズからペリー提督へ2匹の狆が贈られ、さらにペリーは独自に2匹の狆を手に入れ、艦隊に乗せてアメリカへ帰りました。

しかし、航海中氷河地帯を通るなど過酷な旅のなかで、何匹かの狆は命を落としてしまったようです。何匹かは無事にアメリカにたどり着き、そのうちの2匹がペリー提督の家にやってきたようです。
※諸説あります。

日本人との再会

ペリー来航から7年後の1860年、日本の遣米使節団が日米修好通条約の批准書交換のためアメリカを訪れた際、ペリー宅を訪問しました。ペリーはその2年前に亡くなっていましたが、ペリー宅には2匹の狆がいたようです。その狆たちは日本人との再会にとても喜び、一行が帰るときは別れが悲しく騒いでいたという記録が同行者の日記に残されています。

参考文献
仁科邦男「犬たちの明治維新 ポチの誕生」,草思社,2014年7月,24-49ページ

海外での呼称「ジャパニーズ・スパニエル」?

狆は日本国外では「ジャパニーズ・スパニエル」とも呼ばれていましたが、猟犬という意味のスパニエルとは関係がないため、近年「ジャパニーズ・チン」に正式に改名されました。

狆の特徴

狆は江戸時代に大奥でも可愛がられていただけあって、小さく可愛らしい見た目をしています。大きくて離れた目で口もとは短く、耳は三角形の垂れ耳をしています。

毛色

被毛の色は、白地に黒か赤の斑点があり、赤はセーブル、ブリンドル、レモンオレンジの濃淡も含みます。

大きさ

大きさは、体重がオスで約4㎏、メスで約3㎏で、体高がオスで約25cm、メスで約23㎝でコンパクトで正方形に近い形をしています。

狆の性格

狆はおとなしく利口で愛らしい性格をしています。神経質で、プライドが高いところもありますが、環境に順応しやすく飼いやすい性格だといえます。

子どもは好きですが、あまり手荒に扱われることは嫌うため、子どものいる家庭では子どもに接し方をしっかりと教えてあげることで、仲良く暮らすことができるでしょう。

怖がりな部分もあるため、子犬のころからいろいろなものに触れさせて社会化をしっかりと行いましょう。

さいごに

狆は日本原産の犬種ですが、いわゆる日本犬とは違った可愛らしい姿をしていますね。そして、大奥で可愛がられていたり、ペリーに献上されたりと意外な歴史の場面で登場していたのが面白いですね。

わたしは狆にはまだ出会ったことないので、いつかどこかで会えたら嬉しいです。みなさんにも少しでも狆に興味をもっていただけたら嬉しいです。

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